2007年11月1日木曜日

「広告主必見!時代遅れのマーケティングはダメ」USFL連載その16(5月3週号)

16回目はUSフロントライン回5月3週号USFLに入っています。
コラム16回目 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)
前回(5月1週号)は、広告を無視する消費者とマーケティング業界の攻防についてお話ししました。今回は、その戦いの着地点に触れます。

ウェブ2.0?
数年前から「Web2.0」という表現を目にするようになりました。何か深い意味があるような気もしますが、その定義はけっこう曖昧です。もし「Web1.0」があったとすれば、それは、企業や個人がウェブサイトに情報を載せ、サイトのビジターはその情報を一方的に(受身的に)受け取るだけの形態を指します。一方、「Web2.0」は、ビジターもサイトのコンテンツ作りに参加し、他のビジターとやり取りして、オンライン社会を構成する形態を指します。代表例はeBay、Craigslist、Wikipediaなど。このようにウェブがユーザー参加型になり、インタラクティブ(双方向化)になるにつれ、マーケティングも変化してきました。

2.0時代のマーケティング
消費者は今、広告に対して免疫を持ち、賢くなり、マーケティングの影響を簡単には受けないようになっています。きれいな画像やちょっとした売り文句の広告を紙面やウェブに載せるだけでは不十分。ありきたりのCMを全国テレビに流すだけでも駄目。しかし消費文化は衰えておらず、むしろ恐ろしい勢いで進んでいます。つまりマーケティング業界は決して劣っていないことが分かります。一方通行だったインターネットが「Web2.0」に展開したのと同様に、現代の成功するマーケティングでは、インタラクティブな要素が加えられているのです。消費者が広告を無視する術を身に付けてきた以上、あえて消費者にとってその広告を読む・見る・聞くメリットを付加価値として加えなければならない。これこそ消費者とマーケティング業界との攻防の着地点であり、広告主はそこをきちんと理解する必要があります。

誰が世論を誘導するか
モノを売りつけようとする者に対して警戒心を持つのは当然です。しかし、商品やサービスを買いたがるのも消費者です。この矛盾を解く鍵は「信用」です。さて、「人間は何をなぜ信用するか?」というテーマは昔から研究されてきました。20世紀の中頃、二人の社会学者が、情報や世論の構成や伝達について画期的な本を書きました(Elihu KatzとPaul Lazarsfeldの「Personal Influence: The Part Played by People in the Flow of Mass Communications」)。これによると、世論はマスコミから各個人へ直接情報が浸透して構成されるのではありません。情報源を多く持ち、ある分野に関して詳しいと思われている身近な人々(オピニオン・リーダーと呼ばれる。例えば同僚、親戚、友人など)が、まずマスコミの情報を消化し、周辺の人々に伝達され構成されるというのです。「専門家」と見なされているオピニオン・リーダーは、モノを売りたいというような私利私欲がないように思われているので、彼らの意見は尊重され、世論を左右する力を持つという結論でした。

私のオピニオン・リーダー
「消費者レポート(Consumer Reports)」という雑誌をご存知ですか?消費者保護団体が発行する雑誌で、広告を一切載せず商品評価を行っています。私にとって、家電製品などをしっかり評価してくれる「オピニオン・リーダー」の一つです。でも私はマーケッターですので、心の中に一抹の不安があるのも確か。「消費者レポート」の信頼性を疑っているわけではなく、マーケティング業界の仕組みを嫌というほど理解しているからです。つまり、「消費者レポート」ほど信頼されている雑誌なら、自社商品の評価を上げるため、企業はいくらでもお金を出すのではないかと。もしバレなければの話だけれど・・・・。

2007年10月9日火曜日

「あなたもバナー・ブラインドネス?」USFL連載その15(5月1週号)

15回目はUSフロントライン回4月3週号USFLに入っています。
コラム15回目 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

前回(4月3週号)、テレビCMやチラシなどに攻められてきた消費者が、広告に対する免疫をもち、広告を自然に無視する術を身に付けてきたと書きました。
ウェブの世界でも同様です。
人々がインターネットに慣れるにつれ、「バナー・ブラインドネス」と呼ばれる面白い現象が起きました(現在はもっと幅広い意味を込めて、アド・ブラインドネスと呼ばれます)。
ウェブ利用者がバナー広告に対する免疫を持ち、バナーを自然と無視するようになったのです。表示されているバナーが” 見えなくなった(ブラインドネス)“わけですね。皆さんも、特に意識しないままバナーを無視するようになっていませんか?
今回は、このように消費者が賢くなってきたことで、マーケティング業界がどういう行動に出たのかを見ていきます。

広告を無視するさまざまな技術
CMスキップ機能
ティーボに代表されるデジタルビデオレコーダ(DVR)について耳にされたことはありますか?
私はあまり詳しくないのですが、1999年頃から一般家庭に普及し始めたようです。テレビ番組をハードディスクに録画し、テレビ視聴をいろいろと便利かつ楽しくしている技術です。その機能の一つに、CMを簡単にスキップできる機能があります。

スパムメール・フィルタ
メールソフトの受信トレイを苦しめ続け、かつては撤廃不可能と思われたスパムメール。しかし今では、フィルタ機能が充実し、スパムメールを事前に入りにくくする第三者のサービスも提供され、迷惑な広告を益々無視できるようになりました(完全には撲滅できませんが……苦笑)。

ポップアップ・ブロック
インターネットでも広告を殺す“技術”が、奇しくも広告の発展とともに進化してきました。今となっては、ポップアップ広告をブロックしないブラウザ(インターネット閲覧ソフト)の方が少ない状況です。最近人気のファイヤーフォックスは、インターネット・エクスプローラーがブロックできないポップアップでも防げるので評判です。さらに「Adblock」というプラグインを足せば、イメージ広告もブロックできるところま
で発達しています。

業界側のリベンジは?
消費者の広告無視現象に何とか対抗しようと、ウェブマーケティング業界が取った行動は、しつこいポップアップやいらいらさせる動画の含まれたバナー広告を出すことでした。音がいきなり出るバナーや、動き回る広告などを表示するウェブサイトが増えてきたのです。
私自身は、音が出るバナー広告を載せるサイトを極力避けています。音が出れば、確かに無視しにくいのですが、たいていの場合、逆に閲覧者をいらいらさせてしまい、非常に悪い印象を残してしまいます。ウェブマーケティング業界が今抱えている問題に対する戦略としては、かつて悪評まみれだったポップアップ広告並みの失敗作だと思います。

広告に対する想い
マーケッターである私にとって、色々な広告を見ることは仕事でもあり、時として楽しみでもあります。だから、たいていの場合、広告をスキップしたり無視したりはしません。実は、今回紹介したDVRの広告スキップ機能も、私には無用の長物でした。
でも、多くの人は広告に対して、私のような感情を持っているわけではないと理解しています。ですから私は、無視されないような、面白い広告のあり方を常に考えています。けれど、とても難しい。
マーケッターとしての自分と、消費者としての自分が格闘していて、いつもマーケッターとしての自分
が優勢なので(笑)。

2007年9月29日土曜日

「マーケティング業界vs 消費者」USFL連載その14(4月3週号)

14回目はUSフロントライン回4月3週号USFLに入っています。
コラム14回目 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

ウェブマーケッターのみならず、広告代理業やマーケティング業に関わる全員が、ある課題を抱えながら毎日仕事をしています。自分が出している広告やマーケティング物を、いかに消費者の目に触れさせ、良い印象を与えるかという課題です。
今回から5回に渡って、現代マーケティングと消費者意識の変化について考えてみます。そして、現代のマーケティング業界が抱えている課題という側面から、ウェブマーケティングがどう変化してきているのかをお話ししたいと思います。

広告攻撃を受け続ける日常
近年では、アメリカで普通に生活をしているだけで、消費を促す広告やマーケティングが私生活に入り込んできて、何かひたすら攻撃を受けている気になります。マーケッターの私がここで文句を言うのもどうかと思われるかもしれませんが、本当に辟易します(苦笑)。郵便箱を開いてみると、大量のチラシは当然のこと、本物の手紙と見まちがうような広告があり、テレビをつけると、CMだけでなく、番組の中ですらブランド商品が目に付きます。また映画館に行けば、上映前の宣伝はともかく、映画の中でも、メーカー名がはっきりと分かる商品が頻繁に出てきます。ビデオゲームでも、こういった「プロダクト・プレイスメント」(” さりげなく“番組や映画などの中で商品を宣伝すること)が行われています。
これらは、割と最近の傾向です。

古き良きアメリカ?
私が子供の頃は、テレビや映画に商品が出てきても、絶対に銘柄が分からないようになっていました。主人公がコーラを飲むシーンがあれば、「Pepsi」や「Coke」ではなく「Cola」とだけ書いてありました。つまり、現実には存在しない、でたらめな無印缶が飲まれていたのです。ですから私は逆に「Chipsというブランドのポテトチップスはどこで販売されているの?」と不思議に思っていたくらい(笑)。スピルバーグ監督の「E.T.」という映画を覚えていますか?
私が子供の頃、とっても好きだった映画です。たしか、主人公のエリオットがE.T.(宇宙人)をおびき寄せるシーンがあったと思います。お菓子を少しずつまいて、自分の部屋へ導くのです。しかし、その時使われたお菓子は、当時の常識であった「Candy」という” ブランド“ではなく、有名お菓子メーカー、
ハーシーズ社の新商品「Reese'sPieces」でした。映画を見たら、すごく食べてみたくなりました。
これが私が個人的に初めて体験した「プロダクト・プレイスメント」でした。

最近の広告の共通点
テレビや映画などにおけるこの「プロダクト・プレイスメント」や、本物の手紙を装っている広告系の郵便物、そして、近年脚光を浴びている「バイラルマーケティング」(次回以降でお話しします)には、ある共通点があります。
それは、昔ながらの広告(テレビCM・チラシ・看板)にひたすら攻められ続けてきた消費者が、ある程度、従来の広告に対する免疫をもってしまい、広告を自然に無視する術を身に付けてきたことに関係します。近年、業界内でよく耳にするようになってきた「バナー・ブラインドネス」は、この「広告を自然に無視する術」を指す言葉です。
こうした結果、マーケティング業界や広告代理店は、賢くなってしまった消費者の目に、自分が担当している商品をいかに触れさせるかを、必死で考えるようになっ
てきています。

次回5月1週号は、この「バナー・ブラインドネス」についてお話しします。

2007年9月10日月曜日

「知らないとコワーイ!ホスティング選び」USFL連載その13(4月1週号)

13回目はUSフロントライン回3月3週号USFLに入っています。
コラム12回目 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)


さまざまな観点からウェブマーケティングについて触れてきた本連載。今回は、ウェブサイトに必要不可欠な「ホスティング」について考えます。ホスティングといえば、ウェブサイトをインターネット上に公開するためのウェブ用サーバーのこと。このサーバースペースを貸し出すのがホスティング業者です。詳細には触れませんが、そのサービス形態は様々。今回は、商用ウェブサイトのホスティングを選ぶ上での注意点をお話しします。

ホスティングは" オフィスビル"
企業のウェブサイトは「その会社の顔」としての役割を果たします。オンラインショップなどの場合、特にそうだと言えるでしょう。
つまり「ウェブサイト=会社」なのです。
現実の世界において、会社が存在しているのはオフィスビルです。ビル内に机やイスがあり、そこに人が存在することで、会社になります。これをインターネットの世界に置き換えると、ホスティングはまさに、オフィスビルに相当します。
会社に営業時間と休業時間があるのは当然ですが、その存在自体が突然消えてしまうようでは困ります。例えば、「ある日はオフィスがあったけど、次の日はなかった」なんていうのは怪しすぎですね(笑)。また、頻繁に停電したり、入り口がよく壊れて誰も中に入れなくなるようなビルでは、仕事になりません。
24時間365日安定稼動していて当然。それがホスティングなのです。
しかし、この安定稼動が曲者くせもの。もう少し具体的に見ていきましょう。

24/7
体制か回線や電源に時々障害が起きるのは、百歩譲って仕方ないにしても、そうした際のサポート体制の質の高さは譲れません。UPS(無停電電源装置)の耐久時間が十分か、バックアップ回線は用意されているか、障害時の監視体制が24時間休みなく確立されているか、などが重要です。

データ転送量は無制限でも……
そのホスティング業者が、二次・三次のプロバイダー(インターネット接続業者)を経由していれば、レスポンスが遅いのは当たり前。また、バックボーン(世界中に張り巡らされた大容量の通信回線網)とホスティング業者とを結ぶ回線の太さも大きく影響します。バックボーン直付けが最速ですが、その間の回線やバックボーン自体が細ければ、結局遅くなります。俗にいう「よく落ちる回線」というやつです。
ホスティング業者が、毎月のデータ転送使用量に対して制限や課金してくるのは、回線使用量が彼らのコストになるからです。「データ転送量無制限」というサービスはバラ色に見えますが、ホスティング業者が一次プロバイダーでない場合、回線使用量を個別に制御できるほど充分な太さを持っていない(つまり粗悪な回線)と予想できます。

セキュリティー管理は?
ウェブログ(ビジターの記録)が簡単に外部から見られたり、ファイアウォールなどの基本防衛措置がないか、オプションにしているホスティング業者もあります。
そうなると、ハッカーやクラッカーの格好の標的となるでしょう。ハッカーやクラッカー行為の多くは、プログラムを使用してランダムに行われるので、攻撃対象の知名度など関知しません。被害に遭うのは大手企業に限らないのでご注意を。


IPを共有するリスク

IP(世界中のコンピュータを識別するため、1台ずつに割り振られた個別アドレ)を共有するタイプでは、他サイトともIPを共有しており、仮に他サイトがスパム行為をした場合、検索エンジンがIPに対して罰則を課してくるため、とばっちりを受けるはめになります。
あなたのホスティング環境は大丈夫でしたか?他にも注意点はありますが、スペースもないですし、内容が技術的すぎるとご批判を受けそうなので今回はこの辺で……。

2007年9月1日土曜日

「ウェブ業者の見分け方」USFL連載その12(3月3週号)

12回目はUSフロントライン回3月3週号USFLに入っています。
コラム12回目 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

できない注文でも
「できます!」

どんなウェブ業者さんでも、営業トークだけを聞くと、素晴らしい結果をもたらしてくれるに違いないと思ってしまいます。特にIT業界は、聞きなれない専門用語も多く、一般の方には分かり難い世界でしょうから(おそらく私が、保険屋さんから営業を受けているときの感覚と同じ?)
日系・米系問わず、営業トークにまんまと乗せられ、無価値なものに大金を投じてしまったという話をよく聞きます。きちんと統計をとったわけではないのですが、本当にかなりの多さです。ここでは書けないくらい……(汗)。

私どもに泣きついて来られた方々の話を聞くと、まず共通しているのは、完全に業者まかせであるということです。ある程度、業者を信じざるを得ないのは分かります。ただ、厳しい言い方ですが、依頼主側の怠慢が原因だと感じることもよくあります。
「ウェブ制作」=「IT業者の専門分野」という誤解が見受けられます。ウェブをマーケティングツールとして活用するのなら、マーケティングのノウハウが必要です。
「IT業者の専門分野」ではなく、IT技術を駆使できる「マーケティング会社の専門分野」なのです。

業者を見極める方法
誰でもできる、ごく簡単な方法があります。それは「その業者のウェブサイトで実力を計る」という方法です。ウェブ制作を依頼するのであれば、まずその業者さん自身がどういうサイトを作っているのか確認してみるわけです。シンプルな方法ですが、これすらも怠って、電話帳から業者を適当に選んでいるようでは、効果がないままお金だけ取られても仕方ないでしょう。

では、何を基準にサイトを見ればよいのでしょう? 見た目の美しさではありません。今の時代、どんな業者さんでも、見た目はいかにもプロフェッシュナルな作りです(多分ですが……)。

私のコラムを読んでくださっている方なら、ある程度お分かりかもしれませんが、簡単に要点を挙げておきます。

集客能力があるか?(SEO)
SEO(検索エンジンが好むサイトを作り、検索結果の上位に意図的に表示させ集客する手法)で、トラフィック(訪問者数)に大きな効果があるのは、通常、上位5位まで。要するに、検索語が日本語であれば日本選手権で、英語であれば世界選手権で5位以内に入る実力が必要な厳しさなのです。
ところが、ほとんどの業者さんは「SEOできますよ!」と平気で言います……(溜息)。

本当に効果的なSEOができる業者さんなら、当然、自社サイトもSEOで集客しているはずです。
まずは、その業者さんのサイトが、どんな検索語で上位表示できるのか確認してください。検索エンジンで探し出せなかったり、誰も使わないマニアックな検索語でしか上位表示できないようでは、一次予選失格ですね。業者さんのレベルがくっきり現れる、かなり明確な判断基準です。

ページランク(PR)の値は?
以前紹介したPR値を確認するのも1つの指標になります(PRについては06年12月3週号を参照)。最低でもPR値が5以上でなければ、SEOの実践能力がない業者さんでしょう。

サイトへの訪問者数は?
訪問者のないサイトは、決して売り上げにはつながりません。おおまかにせよ訪問者数を簡単に確認できる、アレクサ(www.alexa.com/3月1週号参照)のトラフィック・ランキングからも、そのサイトの集客能力が分かります。
要するに、自社サイトで集客できるようにしていない業者さんが、依頼主のサイトを集客力のあるものにできるはずがないのです。多少は参考になったでしょうか?

2007年8月21日火曜日

「サイト更新の前に必読!(その2)」USFL連載その11(3月1週号)

11回目はUSフロントライン回3月1週号USFLに入っています。
コラム11回目 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

前回(2月3週号)は、サイトのリニューアルを考える際、トラフィック(訪問者数)の実状を把握していなければ、意味のある改善点が見えてこないことをお話ししました。そしてアクセス解析でよく耳にする「ヒット数」や「ページビュー」が、当てにならない数値であることも説明しました。
今回は引き続き、トラフィックを把握する方法についてお話しします。まずは、用語説明からです。

アクセス解析の訪問者数
アクセスしてくる訪問者のホスト(コンピュータ)数のことです。
IPと呼ばれる世界中のホストを識別するアドレスに基づいてカウントされます。インターネット回線によっては、ページを見る度に毎回別のIPとしてカウントされる場合もあり、必ずしも正確ではありません。その場合、クッキー(ウェブサイトからコンピュータに残されるテキスト情報)などを利用して、訪問者数を割り出す方法もあります。

セッション数
訪問者が最初にサイトを訪れてから出ていくまでを1セッションと呼び、それをカウントしたものがセッション数です。訪問者数と似ていますが、同じコンピュータからでも、サイトへの出入りを繰り返せばカウントされていきます。

何を指標とするか
アクセス解析の訪問者数からは" 何人"、セッション数からは" 何
回"、ページビューからは"何ページ"見てくれているかが分かります。これらを組み合わせて、総合評価します。 前回触れた通り、人間ではなく" ロボット"(ウェブデータを収集するためのプログラム)がウェブサイトを巡回しているため、無意味なカウントが含まれていることも忘れてはなりません。下手をすれば、これだけで計測値に何千、何万もの誤差が生じます。アクセス解析を行う場合、こうした"ゴミ"トラフィックをあらかじめ取り除く必要があります。優秀な解析ツールならそれが可能です。

アクセス解析ツール
有名どころでは、Urchin社の有料アクセス解析ツールがあります。我が社でも重宝していたのですが、
その優秀さ故か、2005年にグーグルに買収され、GoogleAnalyticsという無料ツールとして生まれ変わりました(www.google.co.jp/analytics/)。
このツール、はっきり言ってすごいです。分析できる情報量が半端ではありません。どのページ経路で閲覧した人が、コンバージョン(成約。つまりサイトの目的達成のこと)しやすいとか、多角的に細かく分析できます。
ただ細かすぎて、私たちSEO業者には、少し背筋が凍る情報も。訪問者が純粋な検索結果からそのサイトに来たのか、PPC(クリック課金型キーワード広告)から来たのかを詳細に教えてくれるのですが、つまりこれは、お金が入るPPC以外からのトラフィック量をグーグル側に教えることになるのです(汗)。
無償の解析ツールは、数え切れないほどあります。中には無償と引き換えに、強制的に無関係なサイトへリンクさせるものもあるので、ご注意を。世の中、「無料ただほど高いものはない」というところですね。

競合他社の状況を知る
競合サイトのトラフィック状況を知りたい場合は、どうすればいいでしょう? テレビの視聴率を測る有名なニールセン社のように、ウェブの世界でも、外部から状況を把握できるサービスが存在します。無料サービスもあり、その中で割りと正確と言われているのがwww.alexa.comです。世界中のサイトのトラフィック・ランキングが見られるので、結構楽しいですよ(笑)。ただし、必ずしも正確な数値ではないので、目安程度に考えてくださいね。

2007年8月3日金曜日

「サイト更新の前に」USFL連載その10(2月3週号)

10回目はUSフロントライン回2月1週号USFLに入っています。
コラム10回目 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

これまで何回かにわたり、ウェブマーケティングの手法を使ったウェブサイトへの集客法について書きました。今回は、実際にどの程度、集客できているかを知る方法をお話しします。

自分のサイトの現状を知る
仕事柄、ウェブサイトのリニューアル依頼をよく頂きます。「古くなったのでデザインを一新したい」「メンテナンス性を改善したい」「訪問者を増やしたい」といった理由が多いようです。ただし、ほとんどの場合、訪問者数がどの程度なのかも把握されていません。「売上が伸びない」
「問い合わせが少ない」という問題意識はあっても、「何となく訪問者が少ない気がする」という漠然と
した感覚に留まっているのです。ずばり、そんな状態でリニューアルしても、ビジネスは成功しないでしょう。自分のサイトが実際にどういうレベルにあるのかを正しく把握しなければ、改善点が見えてこないからです。事実、デザイン的な見た目以前に、致命的な問題を抱えているケースが多々あります。問題の正確な認識がなくては、改善も成果の検証も不可能です。

一日の訪問者は何人?
では、どうやって訪問者数を把握できるのでしょう? 現在、ほとんどのホスティング(ウェブサイトを公開するためのサーバー)には、何らかのアクセス解析ツールが付いています。それらを使えば様々な数値が計測できますが、一体どの数値が本当の訪問者数に相当するのか、分かりにくい面もあります。まずは、用語の正確な理解から始めましょう。

ヒット数
サイトへのアクセス数を計測する最も大まかな数値です。
ウェブサイトの閲覧は、そのページを構成する全ファイルをホスティングからダウンロードすることで可能になります。訪問者がウェブサイトを閲覧した際に、ダウンロードされたファイル数をカウントしたのがヒット数です。
あたかも1つのファイルに見えるウェブサイトでも、実際には、メインとなるHTMLファイルの他に、画像ファイルなど多数のファイルから構成されています。画像が10個使われているページが1回閲覧された場合、ヒット数は少なくとも10+1=11です。要するに、ヒット数と訪問者数は全く別物なのです。
過去に「うちのサイトは毎日千回以上もヒットしているのに、サービスの問い合わせがほとんどない」と相談を受けたことがありました。ウェブログ(訪問者の行動や情報の記録)を確認したところ、実際の訪
問者数は1日に30人にも満たず、しかもそのうち、人間の訪問者(後述)は5人以下と判明。問い合わせが来ないのも当然だったのです(苦笑)。

ページビュー
あるページが何回閲覧されたかを示す数値です。ページを構成している画像ファイルなどをカウントしないのが、ヒット数との違いです。ただし、ある一人のユーザーが多くのページを閲覧した場合でも、サイト全体のページビューは上がります。また、同一ページを更新して閲覧した場合でもカウントされるので、ページビューだけでサイトの良し悪しは計れません。

サイトを訪れる" ロボット"
そして、サイトを訪れるのは人間だけではないという事実も忘れないようにしましょう。数え切れないほどの" ロボット"がウェブを巡回しているのです。ロボットと言っても、もちろん、鉄やプラスチックでできた機械のことではありません(笑)。検索エンジンやスパム業者、そしてハッカーたちが、ウェブデータを収集するために使用しているプログラムのことです。プログラムを作り、人間の代わりにネットサーフィンさせているわけです。訪問者数を正しく把握するには、まず前提知識が必要なことがお分かり頂けたと思います。