2008年6月3日火曜日

「SNSとマーケティング」USFL連載その第24回(9月3週号)

ウェブマーケティングの様々な面を紹介してきた本欄ですが、主に取り上げてきたのはSEM(検索エンジンマーケティング)でした。今回から4回にわたって、ウェブ上の別のマーケティング媒体というか手法であるSNSについて触れます。

ソーシャル・ネットワーキング
以前、ウェブ上のコミュニケーション方法が、従来の一方通行型からインタラクティブ型(ユーザーがウェブ上で他者とのコミュニティーを形成する)にシフトしている傾向について触れました。
ウェブ統計を取るヒットワイズ社によると、今年の2月の時点において、ウェブユーザーの6・2%がソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)へアクセスしています(日本では「SNS」の最後の「S」はサービスの略だとされていますが、本欄ではウェブサイトを意味すると考えます)。
SNSといえば日本の場合、ミクシィ(Mixi)などが有名です。アメリカの代表的なSNSは、マイスペース(MySpace)とフェイスブック(Facebook)になります。

ひと口にSNSと言うけれど
現在2億人のメンバーを持つと言われるマイスペースは、何年か前にフォックス・ブロードキャスティングの親会社に約6億ドル弱で買収された巨大SNSです。そして、マイスペースに次ぐフェイスブックは3100万人強、日本最大のミクシィは約1100万人のメンバーを持つと言われています。
初期の頃から多くのユーザーを確保していく方針だったマイスペースでは、誰でもアカウントを作ることができ、見事に莫大なユーザーの獲得につながりました。
一方フェイスブックは、元々ハーバード大学の学生間で始まったものです。その後近辺の大学生に拡張され、さらに「.edu」のメールアドレスをもつ学生(正式の大学生)、さらには高校生をも追加していきました。現時点では、誰でもメンバーになれることになっています。
この背景の違いが、最近になってSNSの階級社会を生み出していると言われています。ざっくり言ってしまうと、高等教育を受けた層はフェイスブック、庶民派はマイスペースです。
SNSが登場した初期の頃から、巨大SNSの持つメンバー数やユーザー層に魅力を感じ、様々な音楽バンドから各種ショップまで、SNS上でプロファイル(自己紹介的なホームページ)を作り、低価格で口コミ効果を狙う人々がいました。特に若者層にアピールしたい場合、伝統的なメディアよりウェブという新メディアと向き合う必要性が出てきました。もちろんその中には、効果的なキャンペーンもあれば、伸び悩む、あるいはかえって反感を買ってしまうキャンペーンもあります。
本当のところは、SNSごとに「味」というか「傾向」があるので、それらを十分に理解していないままマーケティングを行うと痛い目に遭います(6月3週号で紹介したように、バイラル・マーケティングに失敗してユーザーの反感を買うのと同じです)。

100万人以上の友達
SNSには通常、「友達」機能があります。プロファイルを見て「友達になりたい」とリクエストを送り、承諾されれば、めでたく友達です。中には100万人以上の「友達」を持つ子もいます。
03年からマイスペースのメンバーであるクリスティーンさん(ユーザー名forbidden)は、「友達」の数の多さを利用し、無名の一般人からインターネット・スターへと変身しました。今ではマネージャーを持ち、スポンサーもついて、テレビや雑誌にも出演しています。
マイスペースの使用ルールにより、本当は商業目的に使ってはいけないとはいえ、知名度を上げれば、
知名度自体をお金に変えることができるという彼女の考え方は、まさに今の時代を表していますね。
次回10月1週号(No.374)以降では、SNSをうまくマーケティングに活用できている例と、逆に甘く見て痛い失敗をしているケースを具体的に取り上げます。

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