2009年4月28日火曜日

「インターネットが怖い?その3」USFL連載その第31回(2008 1月1週号)

前回、マルウェア(コンピュータに危害を加える悪意のあるソフトウェア)の最近の被害の例について触れました。その際、結果的にマルウェアの配信に利用されてしまったダブルクリック社について、少しお話ししたいと思います。

トラッキングされてる?

検索エンジン最大手のグーグル社が買収しようとしているダブルクリック社は、超大手の顧客(マイクロソフト、GM、コカコーラ、ナイキなど)を有する広告配信会社です。

広告配信会社は、オンライン上に広告を出したい広告主と広告収入が欲しいウェブサイトの間に入って、広告配信を可能にする技術的仕組みを提供し、幅広い広告媒体候補となり得るサイトのネットワークを持っています。

しかし……、ダブルクリック社が仕込んでいる「トラッキング・クッキー」(ユーザーのネットにおける行動を追跡できるようPCに記録させた情報)は、スパイウェアだという人もいます。ダブルクリック社は、より効果的に広告を出すために、ウェブユーザーの閲覧行動パターンを分析し、ユーザーのウェブ閲覧行為を追っているのです。つまり、あなたが閲覧しているサイトについて、秘かに集計・分析しているのです。

「とっても怖い!」と思ったあなたに一言。ネットの世界に限らず、日常生活においても、あなたはトラッキングされている可能性があるんです。

スーパーのお買い物だって

どこかのお店のメンバーカードをお持ちですか? ほら、使えば全体の買い物が安くなり、お得になるとかいうやつです。「なんて親切なサービス」と思っているとしたら、それはちょっと違うかも。

例えばスーパーは、カードに基づいて顧客の買い物データを利用し、顧客に合わせた特別のクーポン券を出すなり、顧客がしばらく来店していなければ、店に足を運ぶよう特別のオファーを郵送するなど、ユーザーの行動分析に基づくマーケティングを昔から行っています。

ちなみに06年の12月3週号(No.337)で紹介したグーグルツールバーも、ページランクの表示機能を有効にすると、ユーザーの行動履歴がグーグル社に秘かに送信されるためスパイウェアの一種だという人もいます(勿論、そのことをグーグルは、ユーザーへ事前に告知してはいますが)

スパイウェアとは、あなたのPC内部からインターネットに向けて情報を送り出すソフトウェアの総称です。ですが、必ずしも全てが悪質なソフトウェアというわけでもありません。ただ、ユーザーが知らないうちにイ
ンストールされてしまうものや、悪意をもって個人情報を第三者へ送信するものもあるため、注意が必要なのです。

余談ですが、マイクロソフト社が「ウェブ閲覧をより安全にする」と謳って最新ブラウザ(IE7)をベータ版で発表した当日(05年頃)、グーグルツールバーが消されたとの報告がベータユーザーからあり、一時
話題になりました(マイクロソフトの技術者はその報告を強く否定していましたが)

安全のためスパイウェアと有害な第三者のツールバーをブロックする機能をもつIE7が、グーグルツールバーをスパイウェアとして認識したのではないかという憶測も出回ったのですが、ベータユーザー曰く、グーグルツールバー(と場合によってヤフーツールバー)以外の第三者のツールバーは消えなかったのだとか。まあネット人間には陰謀説好きも多いんですけど(笑)。

現在の正式版のIE7には、この問題は見られていませんので、きっとマイクロソフト社のただのミスなり、ベータユーザーの勘違いであったことでしょう。きっときっと……。