2007年8月3日金曜日

「サイト更新の前に」USFL連載その10(2月3週号)

10回目はUSフロントライン回2月1週号USFLに入っています。
コラム10回目 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

これまで何回かにわたり、ウェブマーケティングの手法を使ったウェブサイトへの集客法について書きました。今回は、実際にどの程度、集客できているかを知る方法をお話しします。

自分のサイトの現状を知る
仕事柄、ウェブサイトのリニューアル依頼をよく頂きます。「古くなったのでデザインを一新したい」「メンテナンス性を改善したい」「訪問者を増やしたい」といった理由が多いようです。ただし、ほとんどの場合、訪問者数がどの程度なのかも把握されていません。「売上が伸びない」
「問い合わせが少ない」という問題意識はあっても、「何となく訪問者が少ない気がする」という漠然と
した感覚に留まっているのです。ずばり、そんな状態でリニューアルしても、ビジネスは成功しないでしょう。自分のサイトが実際にどういうレベルにあるのかを正しく把握しなければ、改善点が見えてこないからです。事実、デザイン的な見た目以前に、致命的な問題を抱えているケースが多々あります。問題の正確な認識がなくては、改善も成果の検証も不可能です。

一日の訪問者は何人?
では、どうやって訪問者数を把握できるのでしょう? 現在、ほとんどのホスティング(ウェブサイトを公開するためのサーバー)には、何らかのアクセス解析ツールが付いています。それらを使えば様々な数値が計測できますが、一体どの数値が本当の訪問者数に相当するのか、分かりにくい面もあります。まずは、用語の正確な理解から始めましょう。

ヒット数
サイトへのアクセス数を計測する最も大まかな数値です。
ウェブサイトの閲覧は、そのページを構成する全ファイルをホスティングからダウンロードすることで可能になります。訪問者がウェブサイトを閲覧した際に、ダウンロードされたファイル数をカウントしたのがヒット数です。
あたかも1つのファイルに見えるウェブサイトでも、実際には、メインとなるHTMLファイルの他に、画像ファイルなど多数のファイルから構成されています。画像が10個使われているページが1回閲覧された場合、ヒット数は少なくとも10+1=11です。要するに、ヒット数と訪問者数は全く別物なのです。
過去に「うちのサイトは毎日千回以上もヒットしているのに、サービスの問い合わせがほとんどない」と相談を受けたことがありました。ウェブログ(訪問者の行動や情報の記録)を確認したところ、実際の訪
問者数は1日に30人にも満たず、しかもそのうち、人間の訪問者(後述)は5人以下と判明。問い合わせが来ないのも当然だったのです(苦笑)。

ページビュー
あるページが何回閲覧されたかを示す数値です。ページを構成している画像ファイルなどをカウントしないのが、ヒット数との違いです。ただし、ある一人のユーザーが多くのページを閲覧した場合でも、サイト全体のページビューは上がります。また、同一ページを更新して閲覧した場合でもカウントされるので、ページビューだけでサイトの良し悪しは計れません。

サイトを訪れる" ロボット"
そして、サイトを訪れるのは人間だけではないという事実も忘れないようにしましょう。数え切れないほどの" ロボット"がウェブを巡回しているのです。ロボットと言っても、もちろん、鉄やプラスチックでできた機械のことではありません(笑)。検索エンジンやスパム業者、そしてハッカーたちが、ウェブデータを収集するために使用しているプログラムのことです。プログラムを作り、人間の代わりにネットサーフィンさせているわけです。訪問者数を正しく把握するには、まず前提知識が必要なことがお分かり頂けたと思います。

2007年7月16日月曜日

「SEOかPPCか?」USFL連載その9(2月1週号)

9回目はUSフロントライン回2月1週号USFLに入っています。
コラム9回目 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

ビジネスの基本は集客から
本題に入る前に、今一度、原点に戻って考えて欲しいことがあります。それは、ビジネスを行う上では" 集客"が必須であるという事実です。例えば、新しくショッピングモールを建設するとします。
どんなに最新鋭の設備やデザインを施したとしても、もし砂漠のど真ん中に建てられたらどうでしょうか?誰も来ない寂れたモールになり、すぐにつぶれますよね。
ですから、普通はまず市場調査を行い、顧客層や人通りを配慮しながら、ロケーションを選ぶわけです。
内装や店舗の看板をどうするなんて話は、もっと後で考えても構わないわけで、まずは良いロケーションの確保が最優先です。
これは、オンラインビジネスにもそのまま当てはまります。成功するウェブサイトにするためには、まず、できるだけ多くの人に見られるようにすることが大前提なのです。デザインやロゴをどうするかという話は、多くの人にサイトが見てもらえる環境を用意できて初めて意味を成すわけです。

砂漠のモールにならないために
ちなみにウェブの世界で人通りの多い場所とは、どこだと思いますか?
それはずばり、検索エンジンを使って表示される、検索結果の1ページ目です。だからもし、検索結果の10
ページ目に、自分のサイトが表示されたとしたら? 
もはや砂漠の中ですね(汗)。仮に5ページ目だとしても、どこか田舎の畑の中で間違いないでしょう。
さらに言うと、どの検索語で上位表示されるかも非常に重要です。
自分のサイトに来て欲しい層が、どんな検索語を使っているのかを的確に見つけ出すことが必須です。
誰も使わない検索語で1位に表示されても、単なる自己満足に過ぎません。

SEOとPPC
本欄では以前、SEO(検索エンジン最適化)とPPC(検索キーワード連動型広告)といったウェブ上での集客手法を紹介しました。SEOは、検索エンジンが好むサイト作りを行うこと。PPCは、グーグルやヤフー等が提供するサービスで、検索エンジンに広告費を払い、自分のサイトのテキスト広告をあたかも検索結果の一部として表示させる方法です。
どちらも、意図した検索語において検索結果の上位表示を狙うという目的は変わりません。
しかし、PPCはクリックされる度に課金されるので、大企業でなければ予算的な限界があります。
SEOも、業者へ依頼するのが常ですから、別途サービス料金が発生します。要するにどちらも、有効な集客手段である反面、コストがかかるということです。

どちらを行うべき?
理想はもちろん、両方行うことです(オンラインマーケティングに本気で取り組む米系企業であれば、通常は両方やっています)。ただし予算に余裕がなく、二者択一の場合は、見込めるリターン(集客数)を考慮して、選択しなければなりません。
例えば、ビジネスに有益な見込み客層を集客する検索語が、あまり使われていなかった場合、集客する以前に最低限のコストがかかるSEOよりも、集客数にコストが比例するPPCを選択すべきかもしれません。
逆に、有効な検索語が頻繁に使われている場合、SEOの方がPPCより安上がりになることが容易に推測できます。要はケースバイケースです。SEOを仕掛けた際に見込めるトラフィックの増加とコストの関係から判断すべきです。

2007年6月30日土曜日

「Googleで遊ぼう!」USFL連載その8 (1月3週号)

8回目はUSフロントライン回1月3週号USFLに入っています。

コラム8回目 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)
前回(1月1週号)は「ページランクと検索エンジンスパム」について説明しました。今回は、カタイ話題からちょっと離れて、少し息抜き。グーグルの検索エンジン以外の無料サービスを取り上げます。

フリーメール Gmail
まずはGメール。グーグルのフリーメール・サービスであるGメールは2004年の4月1日(エープリルフール)に発表されたため、当初は冗談かと思われていました(笑)。特徴は、それまでの常識を破る1GBの容量(現在は2GB以上)。また、マイクロソフトやヤフーのフリーメール・サービスより、うまくスパムを防ぎ、使い勝手も勝っていると思います。初期Gメールは完全紹介制だったため、ウェブ上のオタクたちは、「Gメール紹介状」を手に入れるのが自慢だったり、お金を出してまで、加入したがったりしました。
現在、アメリカ国内ではmail.google.comに行けば、グーグルが携帯電話に招待番号を送ってくれます。もしくはGメールアカウントを持つ友達から招待状をもらえば、誰でも簡単に加入できます。

無料の国際電話
チャットとインターネット電話が無料で使えるグーグルトーク。GメールアカウントとグーグルトークがインストールされたPCにヘッドセットを用意し、そこそこ速い回線(ダイヤルアップは駄目)さえあれば、誰でも無料で利用できます。日本にいる友達や家族との"国際電話"がタダなのです。まだベータ版とはいえ、音質はS k y p e(最近話題の無料電話サービス)と同等以上で、使いやすさも申し分なし。ちなみに我が社では、日本のクライアントさんとの電話で重宝しています。

共有機能付きカレンダー
無料で利用できるウェブベースの便利なグーグルカレンダー。特徴の一つは、個人やグループと予定を共有できること。キーワードや予定、名前を使ってカレンダー内を検索可能で、Outlookからの情報もインポート可。スケジュール管理には充分な機能を持っています。ただし、「すべての情報を共有する」に設定してしまうと、スケジュールが一般公開されるので、ご注意を。無料ただ

ほど高いものはない?
カタイ話題はお休みと言ったものの、やはりちょっとだけ触れてみます(笑)。
グーグルは、便利で素敵なさまざまなサービスを、なぜ"無料"で提供しているのだろうと思ったことはありませんか? 一つの答えとして、おそらくグーグルは、PPC(Pay Per Click/クリック課金型広告の略で、検索語に連動して表示させるテキスト広告)をより広範囲に表示したがっていると考えられます。
そして、コンピュータ業界のマイクロソフト離れを図っているという見方もあります。実際、グーグルは、ベータ版とはいえ、マイクロソフトのワードやエクセルに代わるウェブベースのソフト(Google Docs & Spreadsheets)も提供し始めました。現在のコンピュータ業界は、ウィンドウズなどOSから始まり、およそマイクロソフトの製品がないと満足な環境にはなり得ません。
グーグルは、マイクロソフトに依存しなくてもよい、ウェブベースの世界を展開しようしているのかも。
ブラウザさえあれば、誰でも快適かつ安価に各種サービスが使える環境を目指していると好意的な解釈もできますが、一方では、世界制覇をたくらんでいるとの見方もあります。どちらが正解か今は分かりませんが、展開を見ているのが、とっても楽しいです。

2007年6月16日土曜日

「ページランクと検索エンジンスパム」USFL連載その7 (1月1週号)

7回目はUSフロントライン回1月1週号USFLに入っています。
コラム7回目 は、このブログ内でお読み頂けます。


やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)
前回(は、グーグルのページランク(PR)について説明しました。PR値が高いと、検索結果内の順位も高くなります。今回は、このPRを意図的に操作するスパムについてお話ししたいと思います。

グーグル爆弾を体験!
www.google.comで「failure」(失敗)を検索してみてください。第1位に表示されるサイトは何か
予想できますか? ぜひお試しあれ。検索言語対象を「英語」に設定していれば、画面右に「W h y
these results?」というグーグル社の広告も一緒に表示されるはずです。それを読めば、なぜその検索
語で"あのサイト"がトップに来たのか分かります。
これはPRの一種の弱点をついた技です。PR値を操作して、検索結果の上位に表示されるように
しているのです。ちなみに「google bombing」なんて呼ばれています。

グーグル創立者の誤算?
前回触れたグーグルの創立者が書いた論文(?)の中に、このようなPRの操作について触れた面白い箇所があります。曰いわく「PRは、まず商用操作され得ない。最悪、(PRの)評価の高いサイトからリンクを買うことはできるが、お金がかかるので、さほど心配は要らない」と自信を持って断言していました。
しかし、近年では、検索結果の上位にサイト表示させることの意味を知らないサイトオーナーさんはいないに等しくなりました。そのため、色々な手を使ってPRを操作し、値を高めようとするSEO業者さんも存在します。そうした中、PR値を上げるため、予想された" リンク買い"の他にも、ひと昔前によく見かけたリンクファーム(PRを上げるためのリンク集の量産)、相互リンク(お互いにリンクを貼り合う行為)、コメントスパム(ブログへの強引な書き込み)など様々な手法が見られます。
まあグーグル創立当初は、検索エンジンがここまでビジネスに重大な影響を与えることを予測し切れてなかったのかも。もしかしたら、創立者自身が一番驚いているのかもしれません(笑)。

グーグルのスパムへの取り組み
グーグルのエンジニア軍団は、PRが操作されないように対抗策を練っています。つい最近、グーグルの有名なエンジニアの一人、マット・カッツはある会議で「相互リンクは、(PR値を上げる手法としては)全く無意味になった」という発言をしました。また去年あたり、コメントスパム(自社サイトのURLを強引に多数投稿し、リンク数を増やす検索エンジンスパム)に対抗すべく、グーグルは、リンクのHTMLタグに「rel="nofollow"」が入っていれば、PRのリンクとしてカウントしないことにしました。他の検
索エンジンも同じようにしています。今では、主なブログソフトも、書き込みの中のハイパーリンクに
このタグを入れ、検索エンジンがそのリンクを自動的に無視するようにしているようです。PR上げ作戦
によく使われていたwww.wikipedia.orgも、同じくこのタグを使うようになったそうです。
色々な検索エンジンスパムに対抗しているグーグルですが、それでも、検索結果を手動でいじる・操作するのはポリシーとして避けています。商用目的に操作できてしまうと、検索エンジンの本来の意味を失うと彼らは信じているからです。私もそう信じています。しかしヤフーはなぁ……。

2007年1月5日金曜日

「Googleの誕生」USFL連載その5

5回目はUSフロントライン誌の11月1週号(「ID窃盗の恐怖その2 」号)に入っています。

コラム「Googleの誕生」 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

前回は、90年代半ば、メタタグなどに頼った単純な仕組みの検索エンジンのお話でした。

これから数回に渡って、検索エンジンの世界とインターネット利用のあり方を大きく変えたGoogleと、その天才的発明についてお話しします。

Googleの創立者たち

1995年、スタンフォード大学にはコンピュータ工学の院生として、24歳のラリー・ペイジと23歳のサーゲイ・ブリンが在籍していました。ペイジの父はコンピュータ工学と人工知能の大学教授、母はコンピュータ・プログラムを大学で教えていました。一方、6歳の時、家族と共にロシアからアメリカへ移住したブリンは、現役の大学教授で数学者である父と、同じく数学者でNASAに専門家として雇われている母から、数学とロシア語を教わったそうです。
ブリンの両親は、彼が幼くして数学の天才であることに気付いていたとか。

出会った当時、彼らはいつも口論ばかりして、それほど仲は良くなかったそうです。しかし二人にはある共通した夢がありました。

それは、莫大な量のデータから関連性の高いデータを抽出すること。
つまり二人は、検索エンジンのあるべき姿を追い求め、やがて、誰も考えつかなかった方法を編み出すのです。

96年に二人は、学内の安い環境を使い、Googleの前身プロジェクト「BackRub」を始めました。

「BackRub」は、TITLEタグやメタタグではなく、ウェブページへのバックリンク(そのページへのリンク)を重視したもので、学内では大好評でした。

98年になると、自費で1TB(1000GB)のサーバーを購入。学生寮のペイジの部屋で、Google初のデータセンターを開設しました(当時「Google」という名称だったかどうかは不明です)。

彼らは様々なポータルサイトや団体に、自らの検索技術を売り込もうとしましたが、どこも興味を示しませんでした。唯一、関心を示したのが、友人であったYahoo!の創立者、デビッド・ファイロでしたが、それでも「大きくなったら出直して来い」と言われたそうです。しかし2年後、本当に出直してYahoo!に検索技術を提供するようになったからすごい!

ちなみに数年前まで、Yahoo!の裏ではGoogleが使われていたのをご存知ですか? Googleの検索結果で上位表示を達成すれば、必然的にYahoo!でも上位表示される、SEOの担当者からすると素敵な時代でした(笑)。

最初の投資家

ペイジとブリンが起業を決心したのは、当時、彼らの検索技術を使ってくれる相手探しに失敗したからだそうです。二人は投資家を探すべく、まず彼らの大学関係者の友人で、Sun Microsystems創立者の一人、アンディ・ベクトルシャイムに持ち掛けました。ある日、二人は、ベクトルシャイムに検索技術のデモを行いました。しかし、超多忙を極める彼は「難しい話はさておき、可能性を感じた」と、あっさり10万ドルの小切手を渡し、さっさと出掛けてしまったそうです。

余談ですが、「小切手の宛先は?」と聞かれて「Google」と答えたけれど、まだ起業できていなかったためデポジットできず、法人登記するまでの何週間か、その小切手は机の中に眠っていたとか(笑)。



その後、親戚や友人からも資金をかき集め、起業したのですが、何と最初のオフィスは友人宅のガレージだったそうです。ちなみに会議テーブルは卓球台。

天才軍団のそんな微笑ましい生い立ちにふれていたら、スペースが無くなってしまいました。

次回の天才的発明に迫ります。

2006年11月14日火曜日

「幻のメタタグ」USFL連載その4

4回目はUSフロントライン誌の11月1週号(「映画 冬の陣」号)に入っています。

コラム「幻のメタタグ」 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

前回(11月1週号)は、SEOとマラソンの類似、そしてTITLEタグについて書きました。今回は「メタタグ」の過去と現在についてお話しします。

メタタグって何?

 Googleが登場する前(1996?97年頃)、当時のメジャー検索エンジン(InfoseekAltaVistaLycos及びHotBotの裏側で使われていたInktomi〔後にYahoo!が買収〕)では、検索結果の表示順位を決定するアルゴリズム(通称アルゴ)に、メタタグが大きく関与していました。

 メタタグとは、ウェブ閲覧者には見えない、ウェブページ上部のHTMLコードにある、決まった書き方で始まる情報のことです。写真のようにメタタグには、Meta-KeywordタグとMeta-Descriptionタグがあり、初期の検索エンジンが、そのサイトの内容を判断する材料にしていました。

 特にKeywordタグは当時、上位表示手段として大活躍でしたが、検索エンジン・スパムの誕生にもつながりました。メタタグの乱用によって、そのサイトと全く関係のない検索語にヒットしてしまうことが頻繁にあったのです。つまり、極めて単純な上位表示アルゴの時代でした。

 その後、検索エンジン側も学習し、天才的なアルゴを発明したGoogleなどは、メタタグ(特にKeywordタグ)を重視しなくなりました。2000年には、メタタグによるスパム天国だったAltaVistaですら、メタタグの利用をほとんど止め、唯一、Inktomiだけが利用していました(当時のInktomiの代表曰く、メタタグは全体の順位決定アルゴのほんの一角)。

メタタグ使用は無意味か?

 現在のSEOにおいて結論を先に言うと、メタタグを使わなくても、上位表示は可能です。そして、メタタグだけで上位表示が可能な主要検索エンジンも存在しません。しかし、それでもメタタグは、ウェブページに入れておくべきです(SEOという文脈を離れた意味においても)。

 前回に続きSEOをマラソンに例えれば、メタタグは靴紐のような存在でしかありません。もちろん、靴紐があるだけではマラソンに勝てません(中には裸足で速く走る選手もいます)。しかし、もしも双子の選手が全く同じように10年間トレーニングをし、全く同じ走力であり、全く同じ体調でレースに参加したとすれば、もしかしたらその二人の勝負は、とても些細なことによって決まるかもしれません。そして、それが靴紐なのかもしれないのです。

 ご存知のように、SEOレースでは引き分けはありません。靴紐が最後に勝負を決めることもあり得るのです。

 「サイトの上位表示実現に役立ちそうにないことばっかり! もっと役に立つことを教えて!」と思われている方、どうか怒らないで(笑)。SEO解説本や情報サイトが溢れている今、簡単に知り得る情報は既に古く、勝負の決め手になるものではないとお伝えしたかったのです。少なくとも、SEOにおけるメタタグやTITLEタグの意味を知っていれば、SEOを本当には理解していない業者さんに簡単に騙されなくなるかも(サイトオーナーさん必見の豆知識?)。

2006年11月6日月曜日

「SEOのイロハ教えま-す」USFL連載その3

3回目はUSフロントライン誌の11月1週号(「英語でスピーチ!」号)に入っています。

コラム「SEOのイロハ教えま-す」 は、このブログ内、もしくはこちら(PDF 2.16MB )>>>でお読み頂けます。


やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

第1回(10月1週号)で、SEOとは、検索エンジンにおける非公開の順位決めルール(通称アルゴ)を推測し、意図的に自分のサイトを検索結果の上位に表示させるものだと説明しました。今回はもう少し具体的なお話しです。

SEOはマラソンに似ている?!

 SEOは、狙ったキーワードの検索結果で上位に自分のサイトを表示させ、人目に触れる可能性を高めます。よく似ているのがマラソンです。上位グループの走者は、テレビ中継に映る可能性が高まり、その分スポンサーの宣伝にもなるからです。

 ただし、マラソンと大きく違うのは、SEOのルールが一定ではないこと。タイム以外にも評価基準が多数ある上、前のレースで有効だったことが今回は無効になったりと、何だか訳が分かりません。そして一番辛いのは、レースに終わりがないこと。頻繁なルール変更の下、常に先頭集団で走り続けなければならないのです。

レースに参加できる最低ライン

 マラソンにも参加資格があると思うのですが、SEOレースにも最低条件があります。本来ならば、これからご紹介していく「SEOの基礎」は、「ウェブ作りの基礎」に含まれるべきですが、ウェブ制作業者さんにも驚くほど理解されていないようです。SEOを簡単に考えている業者さんも少なくはありません。まぁ人生と同じで、検索エンジンの世界はそんなに甘くはないのですが(笑)。
 では、SEOレースのウォームアップを始めましょう。

画像だけのサイトはダメ
 誰しもカッコいいサイトが好きです。そして、文字より画像の方がカッコ良かったりするのは当然です。しかし検索エンジンは、画像に含まれている文字を認識できません。つまりFLASHなど、ほとんど画像だけからなるサイトは、最初からSEOレースを棄権したようなもの。ビジュアルにこだわる一方で、ユーザーがいかにそのサイトを見つけるかまでは考えていないケースもあるのでご注意を。いくらカッコ良くとも、ビジターが来なくては意味はありません。

TITLEタグって何?
 サイトをブラウザで表示した際に、一番上にタイトルとして表示させるテキストを記述した部分を、TITLEタグと言います。これは、写真のように、大体の場合、検索結果でリンク文字になっている部分でもあります。
 ユーザーは検索結果のタイトルと要約文から、欲しい情報に近いものを選び、クリックします。つまり適切なタイトルになっていないと、サイトを見てもらう機会をそれだけ失うことになります。検索エンジンにおいて、TITLEタグは順位を決める要素の一つですが、最近の一部のアルゴ変更でその重要度は変わっており、上位グループの走者(SEO業者)なら、それを察知して走法を少し変えているかもしれません(ちなみにアルゴは、マイナーチェンジが数カ月に一回、抜本的な変更が1年に数回行われます)。

まだマラソンには勝てない
 さて、文字コンテンツと、意味のあるTITLEタグを用意できれば、あなたはマラソンに勝てるでしょうか? 実は、まだ勝つにはほど遠いのです。せいぜい走る許可を得るため、健康診断をパスした程度です。要するにこれらは、レース参加者なら誰でもクリアしていることなのです(笑)。
 しかし、ともかくスタートラインに立たなければレースに参加できません。

2006年10月14日土曜日

「検索エンジンスパム」 USFL連載その2

2回目はUSフロントライン誌の10月3週号(「日米笑いのツボ考」号)に入っています。

コラム「検索エンジンスパム」 は、このブログ内、もしくはこちら(PDF 2.2MB )>>>でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

前回のコラムでは、ウェブマーケティングの中でも検索エンジンで上位表示させる、SEOやPPCといった手法について触れました。今回もう一度、検索結果について考えてみましょう。

各エンジンは、ユーザーが検索結果に満足できるように、なるべく高い関連性の持つウェブサイトを表示させることで利用者を増やしていきたいと考えています。そのため、それぞれ極秘のアルゴリズム(通称アルゴ)と呼ばれる、独自の表示順位を決める仕組みを開発し、検索精度を競い合っています。

しかし極秘といえども、SEO業者はこのアルゴを解析し、より好まれるサイト構成などを意識的に実現して、なるべく「自然」に上位表示させます。操作している上で「自然」と呼んでいるのはちょっと図々しいかもしれませんが、お許しを。(笑)

そして更にアルゴの弱点を付き、エンジンを騙し、悪用することも技術的には可能になります。これが所謂サーチエンジンスパムという奴です。

こんな経験はありますか?

何かを検索しようとして、検索結果のサマリーに関連性のありそうなサイトを見つけ、クリックしてみると、行き先のページは全く関係ないものが表示される。これは、もしかしたらサーチエンジンスパムです。

クローキングというスパムは、人が目にするコンテンツとは別に用意した、エンジンに解析させるためだけのコンテンツを読ませる手法で、完全にエンジンを騙すものです。
なお実際にはスパム手法も多数あり、一例では白文字スパムと呼ばれる、文字を目立たないように背景色と同じにし、キーワードをページ内に詰め込むというのも、昔はよく見かけました。

検索エンジンはスパムを本気で嫌っています。スパムによって検索結果が汚されると、ユーザーを失いかねないからです。さらにはPPCで広告収益を得るはずのものが、スパムにより簡単に上位表示されてはたまりません。この点においては、SEOもPPCを使わずに上位表示させるという意味で、検索エンジンからすればおもしろくないのは同じですが、SEOは認めたくはないけれど仕方なく合法、スパムは違法といった感じです。
※注:PPCとは検索エンジンにお金を払い、上位ポジションを買う手法(第1回コラム参照)

スパムの代償とは

検索エンジンからスパムと見なされた場合、軽い罰則ではデモーション(サイトの順位降格)、厳罰の場合はサイトがブラックリストされ、エンジンへの登録が半永久的に抹消されます。
ここで注意して欲しいのが、仮に業者がスパムを行っても、罰則はあくまで直接サイトオーナーにふりかかるという点です。スパムが意図的であるか否かも関係ありません。例え知らずにスパムを行ってしまっても罰則を受けます。

ちなみに日本の某ネット広告代理店が運営しているサイトが、GoogleのIndexから一時削除されて大騒ぎになったのは結構最近の話。SEOサービスを謳う業者も増えましたが、稚拙な知識で取り返しのつかないダメージを顧客に与えかねないという典型的な例でした。

まともにSEOをやっていれば、当然悪い方法も知っています。(知らないのは論外)しかし正統的SEOとサーチエンジンスパムとでは魔法と犯罪くらいの違いがあるのです。


ちなみに私はあくまでも良い魔法使い。
(良いSEOの棒を振るラララー)

2006年10月5日木曜日

「SEOとPPC」 My First USFL column

1回目はUSフロントライン誌の10月1週号(「アグリツーリズムの今とこれから」号)に入っています。

コラム「SEOとPPC」 は、このブログ内、もしくはこちら(PDF 2.16MB )>>>でお読み頂けます。


やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

このコラムの題名を見て、“ウェブマーケティングって何??自分とは関係ない、つまらなそうな話題!”と思われているかもしれません。でも信じて!、“ウェブマーケティング”という話題は奥が深くて、一般のユーザーの方にとっても決してつまらない話題ではありません。そしてもしもビジネスにウェブサイトを活用されているのであれば、面白いだけではなく、むしろ死活問題のお話です。

みんな検索エンジンを使っている!

さて、皆さんはインターネット上で、商品やサービスなどを探されたことはありますか?「ある」と答えられた可能性は高いはずです。何故なら、日本人の67 % (約8,630万人)とアメリカ人の69% (約2億人以上)はインターネットユーザだからです。

アメリカ国内だけでも、1日の検索数がYahoo!においては約6,000万件、Googleにおいては何と9,100万件だそうです。そのうち40回くらいは、おそらく私が検索したカウントが含まれていることでしょう。(笑)

例えばたまたまこのコラムを目にされて「ウェブマーケティングって実際何なの?」と思われた方が、Yahoo!で“ウェブマーケティング”を検索されるかもしれません。実際に今検索してみると、それに関係したページが実に14万件以上も表示されます。これだけ情報があれば、何かを調べるには事欠かないですよね。

検索結果で人が見てくるのは何ページ目まで?

しかしそれだけ大量のページが表示されても、私なら20件も見ればギブアップかも。皆さんはどうですか?実際に見ているのは最初の数ページだったりしませんか?上の方から順にクリックしていき、目的の情報が見つかれば、はいそこで終了という感じで。

これって要するに順位が下の方では、そのサイトは存在すら知られないということなんです。では逆に、順位が上位に来ているサイトは何故その位置に来ているのかを考えたことはありますか?サイトオーナーであれば、自分のサイトは何故来ないと疑問に思われたことは?果たして、上位に来ているサイトにはどういった秘密があるのかと。

検索結果で上位に来るサイトの秘密は?

その秘密とはズバリSEOとPPCです。何かと3文字略語が好きなIT業界ですが、SEOとはSearch Engine Optimizationの略で、訳すと検索エンジン最適化。(うーん‥訳さない方がカッコいいか(笑))ちなみにPPCはPay Per Clickの略。どちらも意図的に上位表示を狙う手法ですが、仕組みは全然違います。

SEOは検索エンジンの順位決めの非公開ルールを推測しながら、検索エンジンに好まれるサイト構造にしていく方法で、PPCはキーワードに連動してテキスト広告をあたかも検索結果の一部として表示させる方法です。

先ほどの例、「ウェブマーケティング」をYahooで検索した場合、枠1がPPC、枠2がSEOによるものです。



なおSEOには専門技術ノウハウが必要な一方、PPCはポジションが入札により決定されるので、お金さえ出せば誰でも1位が確保できます。しかしSEOと違い、PPCはその名の通りクリックされる毎にサイトオーナーに広告費が発生し、1クリックの単価は数セント?10ドルを超えるものもあります。うまく使わないと簡単にお金をドブに捨てることになるのでご注意を。


次回10月3週号(No.329)では、皆の敵、検索エンジンスパムについて書きます。

2006年10月1日日曜日

「やさしく解説 ウェブマーケティング」連載記事始めました!

日系の全米誌雑、USフロントライン(http://www.usfl.com/)さんで、
「やさしく解説ウェブマーケティング」という連載コラムを書き始めました。
やさしく解説 ウェブマーケティング

アメリカ国内にも「ウェブマーケティングブーム」を起こしま?す!!(笑)

2006年7月29日土曜日

お疲れ様US! Webマーケティングサイトリニューアル完成!(?)

数年ぶり?に、弊社のWebマーケティング総合サイトをリニューアルしました!

実はこのリニューアル計画は1年前からあったのですが、
やはりクライアント様のお仕事を優先しなければと、
そうこうしている内にえらい時間が掛かってしまいました。(笑)

コンテンツは幾度となくど土日を使い、半年前には用意できていたのですが、
デザインで色々ともめて‥色々疲れました。
とはいえ、何とか完成できてほっとしています。

実は今回のWebリニューアル、今までの志向から少しはずれて、
思いっきりやりたいことをやってやろうという隠れたテーマがありました。
(クライアント様のサイトでは、どうしても全部思い通りにはならないので)

しかし少し思い切りが良すぎたかも(笑)
画像はまだちょっと重いかな‥うふふ


1つのコンセプトとして、見てくれる人ができるだけ楽しめるサイトにしたつもりです。
通常ビジターが1ページを見るのに掛ける平均時間は30秒程度、
その中でうちのような小難しい商材を扱うコーポレートサイトで全てを伝え切るのは不可能に近い。
そこで最低限のメッセージ的なものでも、掴んでもらえるようなサイト構成にしたつもりです。

賛否両論になるのは覚悟の上ですが、少しだけ"新しい企業Webのスタイル"を生意気にも追求してみました。

コンテンツは、Webマーケティングを全般的に包括するような内容になっています。
正にこれから旬になっていくだろうバイラルマーケティングや、



日本ではまだあまりフォーカスされていないCI (コーポレート・アイデンティティ)なんかにも触れて見ました。



またうちの得意なブランディングサービスも、日本ではまだ珍しいのかもしれませんね。


それからWebマーケティング度を測る無料診断ツールもあるので、
興味のある方は是非ご利用ください。

2006年2月28日火曜日

お久しぶりです!!

お久しぶりです。
昨年の暮れから騒がしさに追われて、毎週ブログを書くことがずーと後回しになってしまいまして申しわけありません。

いつの間にか年も明けて、早2ヶ月も経ってしまいました。(笑)

それに一つ気づいたことがありまして、私という人間はもしかしたらブロガー精神を持っていないかもしれないのです。
そこでちょっと方針を変えます。「ブログ」というよりもたまに「コラム」を書くことにします。

相変わらず検索エンジン業界と検索エンジンマーケティング世界において日々自分にとって、またこの業界にとって面白い出来事や進展がありますが、それらのすべてをここで書こうとするのは取りあえず控えておきます。

気まぐれに空いた時間に、面白いと思ったことのコラムを書くことにしようと思います。
今までどおり英語版は先に出ますが、時間が許す限り和訳もするので楽しみにしてください。:)